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《 ヒ グ マ 》[羆] brown bear 学名:Ursus arctos 哺乳綱肉食目クマ科の動物
 ヨーロッパからシベリア、更にベーリング海を越えて北アメリカまで広く分布する。ヨーロッパではピレネー山脈、イタリア半島など、数箇所に隔離状態で分布するにすぎない。北海道のものは、本種の一亜種でエゾヒグマと呼ばれる。形態上に大きな差があり、アラスカのコディアク島に生息するアラスカヒグマは体長2.8メートル、体重700キロを超すといわれる。ヨーロッパヒグマでは200キロに達しない。北のものほど大きくなるというベルクマンの法則に当てはまる例としてあげられる。
 体毛は主として褐色であるが、赤みの強いもの、黒っぽいものもある。ヒグマの分類にはヒグマ1種とし全てをこの亜種とするものと、アラスカヒグマとハイイロヒグマを独立させ1属3種とするもの、ハイイロヒグマだけを独立させ1属2種とするものなどがある。
 幼獣は木登りをするが、成獣はあまり得意でない。土の中に掘った穴や樹洞の中で越冬する。雌はこの冬ごもり中に1,2子を産む。雑食性で、低木の樹木の実、ハチなどを食べるが、サケなどの魚類も好んで食べる。北海道のエゾヒグマではウシ、ウマ、ヒツジなどの家畜を襲ったり、リンゴ園を荒らしており、有害獣駆除として捕獲が行われている。ときとして人間を襲うことがある。
SONY 『日本大百科全書』 より