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《ひまわり》 Helianths キク科ヒマワリ属の総称。1年草または多年草。
 普通、全株粗剛毛に覆われる。頭花は長花柄上に単生、またはまばらな散形花序をなす。北アメリカを中心に約160種知られ、花壇、切り花、または鉢植えにして鑑賞する。
 ヒマワリ(向日葵)sun flower.は北アメリカ原産の不耐寒性一年草。別名ニチリンソウ(日輪草)、ヒグルマ(日車)とも言う。茎は太くて単幹直立し、高さ1〜3メートルに達する。茎上部を分岐し、先端に径10〜40センチの大輪花を開く。品種、変種が多く、八重咲きのサンゴールド、イエローピグミー、切り花に多く用いられる太陽、黒竜などがある。鑑賞用の他、採油用または家畜用飼料としても重要視される。生育は旺盛で3〜5月に苗床に播種し苗を育てて移植するか、4〜5月に直播する。
 [文化史]スペインの医師ニコラス・モナルデスによって1564〜71年の間に、新大陸からスペイン王立植物園にもたらされ、ヨーロッパに広がった。中国ではその半世紀後の「花史左編」(1616)に丈菊の名で初見する。日本にもその名で伝わり、「丈菊、俗に言ふ迎陽花」の記述がある。貝原益軒は「ひふがあふ」(日向葵)、「かうじつあふひ」(向日葵)の和名をあげるが、15年後の「大和本草」には「日マハリとも言ふ」と書いている。また伊藤三之丞の「花壇地錦抄」(1695)にも日廻りの名が出ている。したがって元禄(1688〜1704)のころにヒマワリの名が広がったらしい。その名は太陽の動きに花がついて回ると見られたことから起こった。益軒は「花譜」では花が「日に向ふ」としか記していないが、「大和本草」では「日につきて回る」と述べている。
 ヒマワリはつぼみの間は太陽の方向に花首を向け、夜の間に西から東に向きを変える。その運動は花弁が黄色く色づくころから鈍り、開花期後、多くは東を向いたまま動かなくなる。しかし同属のシロタエヒマワリは開花後も太陽の動きにつれて回転することが観察されている
SONY 『日本大百科全書』 より