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駒ケ岳
 北海道南西部、渡島半島の東岸にある山。標高1131メートル。安山岩質の成層、円錐火山で、那須火山帯に属する活火山。頂上に東西2キロ、南北1.5キロの東に開いたU字形の火口があり、北側の砂原岳、西側の最高峰の剣が峰、南側の隅田盛などが火口壁となって取り囲んでいる。
 北方から望むと富士山形で、渡島富士と称される。更新世(洪積世)末期に成層火山が形成されたが、現世初頭(約1万年前)から、頂部の崩壊や、軽石を噴出する激烈な噴火を繰り返してきた。
 道内最古の噴火記録の1640年(寛永17)には、頂部崩壊-泥流-津波によって、北側の内浦湾沿岸では水死者700余人を出した。以後十数回噴火し、1856年(安政3)には軽石流で死者20余人を出し、1929年(昭和4)にも大爆発と軽石流で惨害を出した。最近の噴火は42年である。有史以後の噴火は、頂部のU字形火口内で行なわれ、同火口壁沿いや低部亀裂の内部には噴気孔が現存する。
 南側山麓の景勝地の大沼、小沼などの湖沼や湿原は、古い活動による火山泥流が折戸川をせき止めて生じたものである。森測候所が常時火山観測中。頂部から大沼、小沼にかけての一帯は大沼国定公園。函館本線駒ケ岳駅から徒歩約4時間で登頂できる。
    SONY 『日本大百科全書』 より