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ワカサギ(公魚)pond smelt 、学名:Hypomesus transpacificus nipponensis、硬骨魚綱サケ目キュウリウオ科に属する魚
 和名は「若い小魚」という意味。山陰地方や北陸地方では味が良いのでアマサギ(甘小魚)ともいう。体はアユのように細長くてやや側扁(そくへん)する。口は小さく、歯はやや鋭い。体は生時に半透明で、背面は黄色みを帯びた淡青色、側面と腹面は銀白色。全長15センチになる。
 冷水魚で、天然では太平洋側は千葉県、日本海側は島根県以北の沿岸、湖沼とそれに流入する河川に生息する。透明度の低い汽水性の栄養湖に適しているが、水温、塩分、濁りなどの変化に適応性が強い。陸封されやすく、卵での移植も可能なので、本州の中・南部の天然湖、人口湖、溜池などでも繁殖している。
 初秋から早春まで楽しめる釣りとして人気がある。ボート釣り、陸(おか)釣り、桟橋釣り、そして湖が氷結すると氷に穴を開け、そこから糸を垂れる穴釣りがある。
 地域によって氷結しない湖沼もあるので、釣り方はその土地と気象条件にあったものがくふうされてきた。氷上に直径20センチほどの穴をあけて釣る穴釣りは、25〜40センチの短竿に糸巻きのついたものを使うのが普通である。穂先は、竹、カーボン、グラス、塩化ビニルなどで、ごく軟調子が向いている。
 三つ、四つも穴をあけて棒ウキ仕掛けを投入し、のんびりウキの沈むのを待つ釣り方がある。竿は使っているが、魚信があったらウキの頭をつまみ、道糸をたぐる。また、竿先の感度を重視して、時計のぜんまいを加工した鋼の穂先を使う場合もある。
 餌は食紅で染めたサシ、ラビット、アカムシなど。ワカサギの泳層は早朝と夕方が上層、日中は底、竿先を小刻みに動かし、餌を踊らせておいて、すーっと竿先を誘い上げて釣るのが基本的な釣り方である。
 ワカサギは脂肪が少なく、あっさりした旨味をもっている。殆どの料理は骨ごと食べられるため、カルシウム源にもなる。てんぷら、フライ、塩焼き、つけ焼き、南蛮漬け、魚田(ぎょでん)、佃煮などによい。ワカサギは傷み易いので、竹串に刺して、焼きワカサギにすることも多い。
    SONY 『日本大百科全書』 より