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大雪山 (たいせつざん)、北海道中央部に位置する火山郡。「だいせつざん」ともいう。
 北海道の最高峰旭岳(2290メートル)を初め、2000メートル前後の峰々が連なる。古生層の基盤の上に、洪積世後期に大量の溶結凝灰岩を噴出して広大な山体をつくり、その山頂部にカルデラが形成されたが、その後、安山岩系の永山岳、中央岳、小泉岳などの火山が生成され、さらにカルデラ壁に沿って北鎮岳、熊ケ岳、白雲岳などの諸火山が噴出したため、カルデラの原型は著しく失われた。洪積世末期に御鉢平の爆裂火口が生じ、沖積世に入って旭岳が形成され、この両者は今も噴気孔が活動中。
 植生の垂直分布は、標高800メートル付近までが針葉樹と広葉樹の混交林帯、其の上は亜寒帯性針葉樹林帯からダケカンバ帯に移行し、1300〜1600メートルを森林限界とする。それ以上の高所には高山植物群落が分布する。山腹には火山性湿原が多く、高所には構造土など寒冷期に形成された周氷河性の地形などが見られる。ナキウサギや、高山チョウのアサヒヒョウモン、ウスバキチョウなどが生息し、これらは北方大陸に近縁種があり、北海道が大陸と地続きであったことを示している。
     SONY 『日本大百科全書』 より