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スズラン(鈴蘭)lily of the valley 、学名:Convallaria keiskei Miq.
 ユリ科の多年草。キミカゲソウ(君影草)とも言う。葉は2、三枚根生し、長さ10〜18センチ、幅3〜7センチ。初夏、高さ20〜35センチの花茎を出し、径約1センチの鐘形で純白色の花を5〜10個下向きに開く。花冠は先が六裂して反り返り、芳香がある。果実は球状となり、赤く熟す。
 高原に生え、中部地方以北の本州、北海道、およびアジア北部に分布する。切り花、鉢植え、庭植えにするが、現在良く栽培されているのは、殆どドイツスズランである。これは前種と比べて、葉は丸みを帯び、光沢があり、花は大輪で、芳香が強い。
(栽培)露地植えの場合、夏の西日が当らない半日陰を選び、用土は堆肥、油かす、化成肥料をよく混ぜた肥料分の多いものにする。10月中旬、小指の先大に肥大した、花芽のついた地下茎を選び、約10センチ間隔に植え、覆土は芽先2センチ程度とする。鉢植えは10月中旬、5号平鉢に5〜6芽植えとし、冬は鉢ごと土中に埋め越冬させる。フレームや温室で育てると1か月ほどで花を開く。繁殖は株分けによる。
(文化史)日本では江戸時代の園芸書には顔を見せず、一般に知られるようになったのは明治の終り頃からである。アイヌの人々はセタプクサ(イヌのギョウジャニンニク)とか、チロンヌプキナ(キツネのギョウジャニンニク)とよび、利用はしなかった。
    SONY 『日本大百科全書』 より