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カンゾウ(萱草)day lily 、学名:Hemerocallis
 ユリ科ワスレナグサ属の総称。正しく萱草に相当する植物は中国産のホンカンゾウで、日本には自生しないと言われている。葉は細長く、根だし、二列につく。葉間から花茎が高く伸び、ユリに似た六弁花を数個、総状または束状につける。花序は典型的な二叉分枝状から数回枝分れする総状のものまでいろいろある。花は昼咲きまたは夜咲きで、1日でしぼみ、淡黄色、黄色から橙赤色系統まである。
 ワスレナグサ属の植物はすべて多年草で、一般に日当たりのよい陽地に多いが、まれに海岸近くのカシワ林や、コナラ、アベマキなどの明るい二次林の林床に生える。しかし、代表的な生育地は海岸草原や高山・亜高山の草原である。
 ユーラシア大陸に約30種が分布するが、その多くは東アジアの温帯に分布する。欧米、とくにアメリカでは学名のヘメロカリスよりデイリリーの名で親しまれ、広く栽培それ、交雑が容易で種間雑種も数多くつくられ、園芸品種としても重用それている。
 日本の野生種には、現在数種類知られており、開花時間の点から昼咲きのニッコウキスゲ、ノカンゾウ、夜咲きのユウスゲ、昼咲きのエゾキスゲなどの種群が区別されるが、自然条件下でもまれに自然雑種が形成されることがある。
    SONY 『日本大百科全書』 より