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インドからだよ〜ん-V

*** インドの物価と品質 ***

インドに限らず現地で所得税を払わないようにするには年度間(インドの場合は4 月〜3月)で180日しか居られない。
インドで所得税を払えば日本で払わなくとも良くなるけれど、インドで真面目に申告 したらインド首相よりも高額納税者になってしまうと言うから、日本商社の駐在員な どは何か法の抜け穴を通っているとは聞くけれど、具体的には業界ノウハウらしい。
インドも足掛け3年目となって延べ滞在日数は150日以上となった。
色々と買い物もしたので、物価水準とか買ったものの品質レベルが判ってきた。
総じて言えば元社会主義国だけに、生活必需品は極めて安く、贅沢品は高いと言う か、値段だけは先進国並で品質は後進国と思って間違い無い。

先ずはホテルだけれど、一泊$250クラスのタージマハール系、オベロイ系は設備 やインテリアも良くて、そう期待外れにはならない。
国営のアショカ系には泊まった事が無いが、二大チェーンに続くらしい。
一泊$120〜150のヒンドスタン・ホテルとかパーク・ホテルは日本で言えば同 額クラスのシティ・ホテルに相当するが、宿泊代に限らず中のレストラン等の値段も 安くはない。
サービスはそれなりだけれど、共通して熱いお湯が出ないとか、髭剃り用のコンセン トに110Vと書いてあるのに実際は160Vもあったりする。
設備の面で要注意だ。

次は逆に生活必需品関係を記すと、インドもお米が主食だが、キロ当たり6〜12ル ピー(Rs)で15〜30円となるから、日本の1/30位だろうか。
カラグプル市のマーケットでキロ当たりRs2違いで5種類位、量り売りされてい た。
此れらには小石や砂粒が混じっているが、1キロの袋入りでRs70の最高級米は精 製されて塵埃も無く、チャーハンやカレーで食べて美味しい。
ジャポニカ米と言う日本の米と違い、インディカ米は細長いから火の通りが良い。
しかも煮すぎても形を保っているから扱いやすい。
現地人が作っている所をたまたま見れたが、鍋で多めの水でグツグツ煮てから、火を 遠ざけ、鍋蓋と一緒に紐で結わえて逆さにしていた。
当然ながら湯が漏れ出てしまうが其の侭で10分以上蒸して出来あがりだった。
キャンプで飯盒炊爨して引っ繰り返して蒸らすのと同じく、所変わっても飯炊き方法 は同じであった。

お米以外の食材の価格例を示すと、「じゃがいも」15円、「大根」25円、「ニン ジン」30円、「茄子」45円、「トマト」45円、「ピーマン」 100円と言う 具合、ほうれん草などの葉野菜は、30円見当か。
此れは何れも1個でなくて、キロ当たりの値段だ。
大人二人がズックの手提げで両手に持ち切れない位に買い込んでも1000円になら ない。
果物は品質で値段も大きく違うが野菜と比べると割高だから、庶民はそう食べられな い。
「モンキーバナナ」 1本 3〜4円、ココナツ(椰子の実)が一個10〜15円、大 き目のプリンスメロン位の大きさのマンゴーが20〜40円。
小さい台湾マンゴーが日本で200〜300円だから、割高と言っても1/20位だ ろうか。
調味料の値段は「角砂糖」 500g70円、「スパゲッティ」 400g80円、 「バター」 500g170円、「ケチャップ」 1200g200円、「ソース」 200g60円、「酢」 700g45円、等々だった。

インドは基本的に自給自足政策を取っているから輸入品は極めて少なく、何でも作っ てしまう。
ロケットから核爆弾まで作れる能力があると言うのが彼等の自慢の種だが、形は似せ ても品質は総じて悪く、インド人もそれは認めている。
300円程で買ったリュックサックだが、使っているうちに帯紐が縫い代から取れて しまった例は前に記した。
それでも使えなくなったリュックを店に持っていったら、「重いものを入れたのだろ う」と言いながらも新品と交換し、縫い代部分を更にリベットで補強してくれた。
しかし、其のリュックは次の月にはポケットが剥がれてしまった。
要するに布は麻などが入っているのか強いが縫製が極端に弱いのがインドの布製品の 特徴と言える。

インドの電気は動力用が415Vで家庭用が220V、この電圧変動が大きくてプラ スマイナス15%にも振れることは前に記した。
それだけでなくコンセントも色々な種類があって、ホテルなどでも3種類位の穴があ るところもある。
それが同じ種類なのに穴のピッチにバラツキがあるから、中々スンナリ使えない。
ある日、インド製の丸ピンの差込みだったが、受け側が少し広いので、オス側を少し 広げて入れようとした。
すると見事に根元から折れてしまった。
それ程は力を入れなかったのにである。
材料の悪さはスチール系に限ったものでなく、紙はパルプが少なくてクレーが多い。
紙ガムテープを作る機械で糊が紙に染み込まず、其れを使った帯び掛け機の性能が出 ずに偉く高いものになってしまった。
元々はインドの材料不良が原因なのに、宇野製作所は億円単位の機械の後半部分を そっくり設計変更して入れ替える事になってしまったのだ。

薬品類、化学材料も不純物が多い。
従って日本で問題無くても材料の違いでインドでは色々な問題が発生することとな る。
日本のテストである程度の見通しを付けていた廃インキ処理機械(終末汚水処理装置 の様な機械)だったが、やはり化学材料に含まれる異物がフィルターの目詰まりを促 進し、結局数千万円単位の機械2台を別の方式と交換する羽目になった。

生活用品類の値段をもう少し具体的に示す。
ガラス製コップが1個40円、但し分厚くて重く、座りが悪いのもあり、上面が僅か に波打っている。
スープボールが16円、帽子が70円、革ベルトが250円と言った所だが、殆どが 手作りで、値段は材料代に工賃として一人1日150円で、1日何個作れるかで決まる と考えると判り易い。
工業製品の例として、単3電池は17円、ラックスの石鹸が30円だからインド製は 安いが、1日働いて150円の者には高いに違いなく、ゲストハウスの石鹸は度々消 えてしまった。

一流ホテルのレストランは高いが、街中のレストランや地方都市のホテルのレストラ ンのインド料理は美味しくて気安く食べられる。
お勧めはエッグカリーでゆで卵が丸ごと二つ入って40円、チキンカリーやチキンマ サラが80円、野菜スープは60円、鳥を香辛料一杯のタレで焼いたローストチキン は160円とやや豪勢で、インドのタンドリー釜で焼いたタンドリーチキン(1羽な ので4人分)は更に高くて260円。
ビールを1本飲んでも一人300〜400円程度で済む。

最後に丸田太も大好きなアルコール類の値段だが、スコッチは免税店(不思議な事に カルカッタ空港の到着イミグレーション脇にある。シーバス(760cc):$1 5、ジョニ赤(1000cc):$16)で買える他、ホテルのレストランで飲める 位で中々手に入らない。
当然ながらホテルで飲むスコッチの値段は日本と変わらない。
インドウイスキーの安いのはボトルで500円程度で買える。
高いのでも1000円程度だが味わえる程ではなく、丸田はもっぱらコークハイでイ ンド・ウイスキーを愛飲していた。
ビールはキングフィッシャー(インド製)の缶ビールが美味しくて130円位。
何故か判らないが同じキングフィッシャーでも瓶は不味い。
多分栓の密閉度の為だろう。
缶ビールでもケースに一つ位は凹んだりブカブカのが混じっているから、要注意だ。
此れが原因で腹痛を起こした者も居る。
インドワインも1000円位であるが、シャンペン(スパークリング・ワイン)とな ると2000円になる。

人口9億人のうち8割前後の庶民は1日50ルピーで130〜150円位だから、食 べられる物や買えるものは限られる。
サルボニの新紙幣工場に勤める人達でも月給1〜3万円で、一般社員はラジオに自転 車(5000円位)を持てる程度、マネジャークラスでもバイクが精々で、テレビは 次長クラス以上、マイカー(1000ccクラスで160万円程度)を持っている (但し殆どは中古)のは工場長と4名の部長クラスとランクがはっきりしている。

この様にインドの階層は広くて、ヒンズー教徒にはベジタリアンが多いと言うが、実 態は肉など買えないし食べた事が無いだけであって、他にインド人が見てない所で食 べさせたら食べるし、アルコールは駄目だと言っていたインド人が日本での研修が終 わる頃にはお酒大好き人間になって帰って行ったのです。

(オリジナル:1998年2月9日、編集:2000年5月10日)

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