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インドからだよ〜ん-V

*** 生き物彼是 ***

3回目のインドも間もなく1ケ月になる。
暑さも峠を過ぎようとしているが本日も39℃になった。
暑さが厳しいのは何も人間だけでなく、動物や虫達も同じこと。
この暑さが一番の頃には「サソリ」も冷房に引かれて人間の縄張りに進入して来るの だとか。
先日の夜、ゲストハウスでマネジャーのパンデットが夜遅くまで飲んで行った時の事 だった。
中指程のサソリがボスの飯塚次長の足元まで這いずり出して来て大騒ぎになった。
下手に手を出せず処置に困ってしまい、椅子の足で潰したのだとか。
猛毒の持ち主だけに、若しも此れに飯塚次長が刺されていたらと思うと「ぞっ!」と する。
サソリの事だから、直ぐに毒が回って一環の終わりかと期待(?)しないでもない が、インド通の岸川参事によると、「一晩は痛くて転げ回る程度」との事。
何れにしても翌日の帰国は叶わなかった筈。
この話しを聞いた宇野製作所のトモダ君は「私の部屋にも小指位のが居たから瓶に入 れて土産にします」と涼しい顔で言っていた。

一昨日の事、ゲストハウスには、またまた珍客訪問があった。
これはワニではないか、と思うが如く、デカイ「とかげ」の訪問だ。
岸川参事が撮った写真を「インドスナップ(動物達)」で紹介している。
靴の大きさで測ると70センチと言った所か。
「此れに噛み付かれると死ぬよ」と言うのが現地の人の話だが、インド通の岸川参事 によると「此処では噛まれても適切な消毒が出来ないからだよ」とか。

動物や虫は確かにゲストハウスには種類も数も多く、ヤモリは各人の部屋でも食堂で も、大は15センチ以上から、小は3センチ位まで、常時壁や天井を這いずり回って いる。
そして時々、ポタッ、と落ちても来る。
寝床の上には蚊帳があるから良いけれど、寝ている間に寝床へ来られても、ヤモリで は歓迎できない。
夜中でも時々「キュー、キュー」と鳴くが、南側の林に近い方の部屋の人が「明け方 になるとキジが鳴くんだよねー」と言っていたのは多分ヤモリのことだろう。
インド通の岸川参事によると、ヤモリは屋守と言って害虫退治をしてくれるから苛め てはならないとのこと。

部屋には蟻も沢山いて、私の部屋には窓の隙間に巣くっており、中と外とで出入りし ている。
避暑地とでも思っているのだろうか。
もう一つのグループは風呂の下に巣くっており、丁度トイレを使っているとタイルの 目路に沿って行列をなして行ったり来たりしているのが見える。
御陰で時間をかけて気張っていても退屈しない。
その蟻も夜中の活動には閉口する。
インドで買った水筒にポカリスエットを作っておいたが、夜中に喉が乾いて一杯飲ん だ所、何か小さいゴミ状のが舌に触ったので、ポイと吐き出してその時は直ぐにまた 寝てしまった。
所が、翌朝もう一度ポカリスエットを飲もうとしたら、何と蓋の中に居るわ居るわ、 蟻達が10匹以上は集っているではないか。
そうなのだ、昨夜は蟻を吐き出したのだった。
此処で疑問が二つ。
密閉した筈の水筒に何故蟻は入っていたのか。
試しに水筒の蓋をした侭で逆さにしてみた。
すると見事にドボドボとポカリスエットが零れ出た。 300円の水筒だから仕方ないか。
もう一つの疑問は、窓際からもトイレからも離れた所に水筒を置いてあったのに、何 故蟻が集まって来たか。
蜜蜂の場合は満ち蜜った花を見つけると8の字を描いて飛んで仲間に知らせると言う が、蟻は如何にして仲間に知らせるか判らないが、甘味の汁には良く集まる。
インド通の岸川参事に聞いてみたが、「蟻が多いから」としか答えなかった。

蝿に対して日本人は不潔の象徴として忌み嫌うが、インド人は全く意に帰さない。
此れは蝿の影響度によるし、蝿の量にもよる。
市場で群がる蝿の多さは我々の購入意欲を無くさせる。
蝿が運ぶ雑菌に対して彼らには抵抗力があるし、此れだけ多くては退治するなどと思 うだけでも無駄なこと。
そうは言っても我々の食堂内で飛び交う蝿を何とかしなくちゃならない。
蝿叩きも無かった最初の頃、丸田の得意技は「忍法蝿の生け捕り」で、留まってる蝿 の後から蝿が逃げ出す方へ目掛けて両手で包み込む。
すると2回に1回は生け捕り出来るので、羽根を片方だけ毟り取り床に放す。 蝿が飛ぼうとするとクルクル勢い良く回って暇つぶしになる。
食事の度に5〜10匹は取れて少しは減った。
それでも昼食時にまた大量の蝿が入っている。
インド人の掃除人が窓を開け放って掃除をするから、また一杯入ってしまうのだっ た。
結局、窓を全てガムテープで目バリし、鍵もガムテープでロックし、トイレの為の裏 ドアもガムテープでロックしたら、翌日から激減した。
インド通の岸川参事によると、インド人は「蝿も集らない食べ物は腐った物」として 食べないのだとか。

最初のコックの須藤さんと重量の信瀬さんとが、皆に美味しいトンカツをと丸々一頭 の豚を買って来た。
所が開けてビックリ。
内臓にウジがいて、結局新鮮なカツ料理は取り止めになった。
インド通の岸川参事によると、ベンガルの名物カリーはフィッシュ・カリーだけれ ど、地元の川魚には必ずムシが居るから、勧められても食べない方が良いとのこと。

二人目コックの栗俣さんが生まれて間も無い「山羊」(地元ではマトンとして売られ ている)の雌雄を買って来た。
「今シリーズの最後に丸焼きにしよう」と。
でも毎日ゲストハウスの芝生で仲良く草を食んでいる姿を見ていると、丸焼きにする には忍びなく、ペット化してしまった。
しかも渡り廊下などでのパチンコ玉風の大量のウンチが問題となり、殆ど買値の半値 で売り払ってしまった。
インド通の岸川参事は何も言わなかった。

インドの生き物達よ、仲良くしましょう。

(オリジナル:1997年6月、編集:2000年5月)

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