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インドからだよ〜ん-U

盗難騒ぎ

拝啓 セクレタリ殿
宗教柄かガンジーの無抵抗主義の影響か、インドは安全な国で暴力ざたを耳にしない し、悪さをする人を皆が注意しあっている感じさえします。 カルカッタやカラグプルの行き帰りに故障したトラックは道端で沢山見かけるのです が、車に撥ねられた生き物の跡は殆ど見ません。

近くの村に空き巣が侵入したらしいのですが、村人がその犯人を見つけるや、皆で袋 叩きにしてしまい、結局その泥棒は死んでしまったそうです。
所謂リンチに合った訳で、此処でそれは殺人ではなくて自業自得なのでしょう。

そんなインドにあるゲストハウスですから、盗難騒ぎなど有る筈がなく、三交代勤務 の門番も不要と思うのですが、それが最近ちょっとした事件がありました。
メンバーの一人が食堂に忘れたしまった眼鏡が消えてしまったのです。
盗まれたと言うより、持ち主不在の物を誰かが持って行ってしまったと言った感覚な のでしょう。
勿論日本人にはそんな人は居ません。
今迄も娯楽室の物が無くなったり、部屋に置いてあった靴(ゴミ箱に捨ててあったと の説もあり真相は不明)を持って行った者が居たりと、この様な類の事があったよう で、多分掃除人の親玉だろうと当たりを付けたコックの須藤さんと手伝いのヘモント が、その者の部屋を探した所、ピンポーンだったとか。
ヘモントとしては親玉に内緒で合鍵で入ったものだから、「お前の部屋にあるのはお 前が盗んだのだろう」とは言えず、それとなく眼鏡を探している事を判らせ、自分か ら元へ戻す事を期待したがその様子も無いと言う。
業を煮やした二人が親玉の部屋からその眼鏡を持ってきて本人に詰問した所、何だか んだとその場は言い訳をしておいて、マネジャーのビスワナタン(メンテナンス担当 だがゲストハウスの世話をしてくれている)に親玉は「私が盗んだと疑われている」 と訴えたとのこと。
実はこの掃除人はチャトパタイ工場長の家で働いていたのをゲストハウスの仕事に変 わったらしく、工場の上層部にコネがあるものだから、「あの者は盗みをするような 男ではない」と、結局は須藤さんとヘモントとが悪者にされてしまいました。
私も聞いた話なので真相は不明ですが、部屋の目覚し時計を触られたらしく、真夜中 に突然鳴り出した人が居たり、録音したテープの音が途中で消えていたりと、事件に ならない事が色々と起きているのも事実です。

インドの物価はホテル等を除いて1/10から1/100と幅広いけれど、安い事に間違いあ りません。
前回来た時にカラグプル市のマーケットで買ったリュックサックが125 ルピー(300円)で、結構良かったので、工場までの行き帰りにノートパソコンな どを入れて運ぶのに丁度良いと、今回も日曜日に買いに行きました。
前と同じ店で、前と同じような形で、今回は110ルピー。
これで良いと次の日からは通勤は自転車にし、よいしょと背負っての毎日でしたが、 数日後にトンでもない事になってしまいました。
ノートパソコンにプリンターに書類にと、一杯詰め込んで、工場の玄関でよいしょと ばかり背負おうとしたら、メリッとした音と共に、一方の背負いの帯が取れてしま い、荷物は逆さに地面にドスン。
その場は荷台に括り付けて部屋へ帰って良く見ると、ショルダーの帯はリベットで頑 丈に止めてあるのだけれど、背負いの帯は太めの糸で縫ってあるだけです。
もう一方も強く引くと簡単にメリッと音を立てて取れてしまいました。
所でパソコンが壊れてしまっては高い110ルピーになると、恐る恐る中をチェック すると、パソコンとプリンターとのケーブルの金具が半分に潰れた程度で済んでいま した。
それを金具を元へ開いて、中のピンも曲げ直して何とか動作に支障がないようなので 一安心です。
この時に一緒に買った替えズボン用のベルトは35ルピー(100円)で、ジョイフ ルホンダでも500円はすると思って買ったのですが、何回も使っていないのにベル トの穴が長くなってきて、金具に当たる部分が白く剥げてきて、やはりインドの物は 値段以上を期待しては駄目と言うことでしょう。
EAPL(我々が雇ったインドの会社)の連中の仕事ぶりにも期待し過ぎてはがっか りするだけなので、何事もインド製はそんな程度としか思わないようにしましょう。

カルカッタへの気晴らしも良いけれど、現地で食べた物が合わないのか調子を悪くす る人が居ます。
やはり日本からの物が食べ物に限らず頼りになるもので、誰かが来ると何かがあると 期待に胸膨らませているのは私だけではないでしょう。
先週末には待ちに待った単札ナンバー印刷機の2号機が工場に着いたのですが、仕事 熱心の余りに待っていたのではなく、(外注の)宇野製作所で対人スペアパーツを沢 山入れてあるとの情報があったからなのです。
つまり酒肴品なのですが、これが不味い事に通関書類の不備からコンテナーの中を開 けて調べられたらしいとのこと。
リストに無い物がぞろぞろと出て来たら密輸(正しく密輸には違いない)になってし まいます。
所が一日遅れで着いたコンテナーは開けられた様子はなくて一安心。
しかし開梱の場にはBRB工場のメンバーが沢山居るし、あまり具合良くないなぁと 思いつつ、プラットホームから引き込んで、いよいよ木箱を開く段になりました。
それが、その場所は紙が一杯入っている倉庫で狭くなっており、丁度木箱で通路を塞 いだ格好になったものだから、此方のメンバーが外側から横板を外しに掛っている間 に、先に開いた後ろの面からダンボールを5〜6個取り出して、プラットホーム側か ら車で運び出してしまいました。
一応は小山主任からマネジャーのビスワナタン(ゲストハウス担当)に事情を話し、 ポリス(CISF)のチェックも無しに無事にゲストハウスへ運んだのであります。
この夜は久しぶりにアサヒスーパードライで喉を潤したのでありました。
また一週間前に飯塚次長達がカルカッタの免税店から仕入れてきたウィスキーも丁度 底をついており、今回焼酎も数本テレビの横に並べられ、久しぶりに皆で幸せな気分 となりました。

船田係長が植えて帰った野菜も随分大きくなりました。
2個所に3種類ほどを植えて、毎朝水を欠かさず、肥料も与えています。
もう20センチ以上に伸びた葉っぱもあります。
しかし、外の草むらに近い所を開墾した畑のには虫が沢山付いたらしく、折角の葉だ いこんの葉に直径数ミリの穴が一杯です。
人が食べて美味しいのは虫にとっても美味しいに違いありません。
船田係長にお伝え下さい。
今度お見えの時には害虫駆除剤持参願いますと。

敬具 1997.2.25

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